憑依現象

夏の頃の話。
僕はバーベキューの後に、コンクリートの上を高圧水洗浄器で掃除してた。
つまり、水を撒いてた。
すると、そこにカマキリが寄ってきたのです。
「あれ?水でもほしいのかな?」と思いつつ、
暇だったので、僕はカマキリに水を掛けて遊びました。
いわゆる昆虫虐待なんだけど。

すると、
カマキリのお尻から、
スルスルと、針金のような虫が出てきたんですよ。
回虫みたいな虫なんですけどね。
見たことありますか?
カマキリの体長が8センチ位なんだけど、
その虫は30センチ位もあるのですよ。
そいつは、水の方へ、水の方へどんどん進んでいくのです。

画像


「なんじゃこれは」

水はどんどん流れて、用水の中に入ります。
虫は水と一緒に流されて、排水溝の中に入ってしまいそうでした。
僕はとっさに、
針金のような虫を掴もうとすると
一緒にいた友人が、

「触ったらダメだ。爪の間から体に入るぞ!」
と僕を止めるのです。
「これは、ハリガネムシという寄生虫で、
体の中に入ると絶対に出てこないんだ。ただし、宿主が死んだら出てくる。」

「まじですか?」

そこで研究熱心な僕は調べたのです。
そしたら、すごい怖いことが書いてあったので紹介しましょう。

それはですね。
そもそもハリガネムシは、水中昆虫で、水中で交尾して卵を産む。
その卵がついた植物を水中昆虫が食べる→水中昆虫を陸上生物が食べる→お腹の中で成長する。
いわゆる他の生命体に寄生して暮らす寄生虫なんですよ。
しかも、
普通の寄生虫は、最初の宿主と運命を共にする。
つまり、宿主が死ねば一緒に死ぬのです。
しかし、ハリガネムシは、最初の宿主が違う宿主に食われると、
次の宿主の体の中で寄生するという凄い寄生虫なのである。

ここまででも怖いのですけど
もっと怖いのはここからなのだ。

カマキリなどの陸中の動物に寄生してると、
寄生してる動物が生きてるうちは生きられますよね。
でも、カマキリが死んでしまうと、自分も死んでしまいます。
それでは、やばいですよね。
なぜやばいかというと、
本来は水中生物なんでね。
水中に戻って交尾しないと子孫が絶えてしまうわけですよ。


そこで、ハリガネムシは、すごいことをするのです。
それは、寄生してる動物が水辺へ行きたくなるように
誘惑するのです。
つまり、
カマキリが寄生されてるとすると、
「あぁー水辺に行きてぇ~。やりてぇ~」と、
カマキリが唐突に思うわけですよ。
それで、水辺の誘惑に抗しきれず、
水辺に行くと、ここぞとばかり、カマキリの身体を破って外へ出るらしい。
そして、ハリガネムシが脱出したカマキリは急激に衰弱し、死ぬことが多い。
これは、寄生というよりも
明らかに憑依現象と考えた方が良い。

日本には古来より、狐憑きと呼ばれる症状がありますが、
これは狐霊が憑依することによって、異常な行動を起こすと考えられているわけなんですけど、煙で燻したり、犬をけしかけると狐が逃げ出し、
一気に正気に戻るという現象である。
憑依現象の特徴は、
まさに、「憑き物が落ちると急におとなしくなる。」ってことだ。


どういうメカニズムで
ハリガネムシが憑依し、宿主を水辺へ誘惑するのか判らないらしいですが、
フランスの研究者によると、
「ハリガネムシが寄生しているバッタの脳からは、寄生されていないバッタにはないタンパク質が見つかった。
そのうちいくつかは神経伝達物質の活動に関係するもので、そのほか重力走性に関係するタンパク質があった。」
と報告されている。

ここは極めて重要なのだ。
つまり、唐突にいうと、
「ハリガネムシは、宿主の脳内に誘惑物質を放出して、脳を自由に操る。」
ということです。
これこそ、まさに憑依の定義であります。

怖いでしょ。
でも、これって凄い話だと思うのです。

たとえば、
男がなぜ女を欲するか?というメカニズムは
実際のところ判ってないのです。
男性ホルモンが攻撃的な性欲を起こす。
ということは判っていても、実際にテストステロンがどのように人体に作用し、
そのような物質によって激しい性欲を引き起こすのかは、
未だに判らないのです。

そこで、僕の仮説なんですけど、
男限定の理解される話になりますが、
下半身に精液が溜まると、無性に女体が欲しくなりますよね。
溜まっただけで、やりたくなる。
これは、もうどうにもならない衝動でね。
なにやらモノノケに憑依されているようなものである。

つまり、欲情の原因は現在考えられているような、
テストステロンでは無く、原因は精子にあるのです。

だって考えてみて下さい。
なんとか女体と結合して精液を放出したとします。
すると、一気に性欲が消滅します。
あんなにやりたかったのに、
全部放出した途端に、憑き物が落ちたように大人しくなります。
射精の前と後の差は、男性ホルモンではなく、精子である。
つまり犯人は精子なのだ。

性欲が憑依現象と等しいとするのならば、
精液の中に神経伝達物質の活動に影響を及ぼすハリガネムシみたいなものがいると考えるべきでなかろうか?
放出したとたんに大人しくなるっていうのも典型的に憑依的だ。
だから古来の人は、精子のことを精虫と呼んだのである。

イチョウの木ってご存じですよね。
日本の植物学の大家である牧野富太郎は、
その著書の中で、
「イチョウの精虫」という話があります。

もともと、
イチョウは中国からやってきた木で日本にはなかったそうで、
この木は雄木と雌木がある。

春に咲く雄花の花粉が雌花の卵子に受粉されます。
そして、秋が来ると、
受粉した花粉から精虫が二匹実際に出現するというのです。
判ります?読み飛ばしてませんか?
花粉から精虫が沸くんですよ。
実際にですよ。白日夢じゃないのです。
そして、この精虫が雌精器に侵入し、実を結ぶのです。

これを牧野富太郎は、
幼い男女が結婚して、
成人してから性交するのと同じであると
説明しています。
そして、この精虫を発見したのは日本人の平瀬作五郎という画家だそうだ。

確かにイチョウって不思議な樹である。
匂いも独特ですよね。生々しい匂いだ。
参照:大阪百樹イチョウ


確かに、
ハリガネ虫が出た後のカマキリは
ふらふら状態になって、
水から逃げて行きましたからね。
その哀れさ加減は、まるで放出した後の男のようであったな。

つまり、精子の中に精虫というハリガネムシが存在し、
子宮という安息の場所を求めるように
強烈な脳内物質を分泌してるのです。
そして、精虫が子宮という場所にたどり着いた途端に、
男は用なしになって、分泌を停止するに違いない。

近い将来、精子の中に精虫が発見され、
脳内に欲情物質を分泌することが証明されるでしょう。
そのときにこの記事を思い出して欲しい。

ところで、
僕の知り合いで、
アルコール中毒の人がいるのですけどね。w
この人は、酒の誘惑に逆らえないんですよ。
それで、皆が、冗談で、
「お前は何かに憑依されてる。」
と苛めるのですけどね。
もしかしたら、本当に酒好きのハリガネムシに憑依されてるのではないかと
思うのである。
なぜなら、
酒を一口飲んだら、落ち着くのですよ。
別に酔わなくても飲めば落ち着くっていうのが憑依的ではないか?

こう考えると、
精虫だけでなく、
案外、いろんなハリガネムシがこの世には存在し、
憑依の隙を探ってるかも知れません。

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