シェルドレイクの仮説

■100匹目の猿現象
猿は芋を洗って食べない。
しかし、宮崎県の幸島に棲息する猿の一頭がイモを洗って食べるようになり、同行動を取る猿の数が100匹を越えたとき、その行動が群れ全体に広がった。
さらに幸島よりはるかに場所を隔てた大分県高崎山の猿の群れでも突然この行動が見られるようになったという。

この理論の意味するところは、「ある行動、考えなどが、ある一定数を超えると、これが接触のない同類の仲間にも伝播する」という現象を指す。


■偶然の一致の解明
この100匹目の猿現象はライアル・ワトソンが創作した生物学の現象である。
実際の話ではない。

しかし、この話はつくり話だとしても、実際には有り得る事象であることを今からお話しようと思う。


■共鳴現象
偶然の一致は共鳴現象と非常に似ている。
共鳴とは、ある物体の振動エネルギーが他の物体に吸収されて、その物体が振動することを言う。
物理的には、同じ波長を持つもの同士は共鳴する。
この共鳴現象を具象化したのが楽器で、共鳴によって、発音体の振動エネルギーがより大きな物体(共鳴体、共鳴腔)に伝えられ、効率よく音に変換される。すなわち、発音体が単独の時よりも、より大きな音を得ることができる。そればかりでなく、音色が変えられ、楽器によっては共鳴によって安定した音高を得ることができる。

この現象は音以外でもありえるのではないか?
そう考えた学者がいる。
一人は心理学者のユングであり、もう一人は生物学者のシェルドレイクである。


■シェルドレイクの仮説
イギリスの元ケンブリッジ大学教授で、かつ英国王立協会会員であるルパ-ト・シェルドレイク(Rupert Sheldrake)が唱えた仮説で、擬似科学と呼ばれる領域である。

この仮説は以下のような内容からなる:(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)




①あらゆるシステム形態は過去に存在した同じような形態の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する。(時間的相関関係)

②離れた場所に起こった一方の出来事が、他方の出来事に影響する。(空間的相関関係)

③形態のみならず、行動パターンも共鳴する。

④これらは「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによって起こる。




非常に簡単に言えば『直接的な接触が無くても、ある人や物に起きたことはが他の人や物に伝播する』ということである。


■仮説の公開実験

1983年8月31日、イギリスのテレビ局テームズ・テレビによってシェルドレイクの仮説を調査する公開実験が行われた。一種のだまし絵を2つ用意し、一方の解答は公開しないものとし、もう一方の解答はテレビによって視聴者200万人に公開する。

テレビ公開の前に、2つの絵を約1000人にテストする。テレビ公開の後におなじように別の約800人にテストをする。いずれも、この番組が放映されない遠隔地に住む住人を対象とした。

その結果、テレビ公開されなかった問題の正解率は放映前9.2%に対し放映後10.0%であり、もう一方のテレビ公開された問題は放映前3.9%に対し放映後6.8%となったという。これにより『公開されなかった問題では正解率は余り変化しなかったが、公開された問題は大幅に正解率が上昇した』とされた。

ようするに、テレビで公開されて周知の問題と回答になると、テレビを見ていない人にも回答が判るという現象。


■てるてる坊主
このシェルドレイクの仮説の基本である、「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによって起こることは、呪術の基本的な考えである。
たとえば、空海の行った雨乞いの呪術であるが、雨が降った状態の箱庭を作り、その後ろに護摩の祭壇を作って祈祷した。
すなわち、雨乞いは「すでに雨が降った形の場」を人工的につくり「形の共鳴」によって雨を降らすというはシェルドレイクの仮説の実践である。

雨乞いで軒先などに飾ると、明日の天気が晴れになると言われている、「てるてる坊主」の起源は、中国の晴娘が原型であり、この娘は大雨の時に雨が止んだら竜神の嫁になると祈願した娘だそうだ。これも「形(晴娘の像)を作ることにより、形(雨が止む)を共鳴させる」 シェルドレイクの仮説の実践である。


■リンカーンとケネディ
リンカーン大統領とジョン・F・ケネディ大統領の共通点について
これはケネディがリンカーンの生まれ変わりという問題ではなくて、ケネディの人生の形が、偶然にリンカーンの形と同じになったために時間を越えて共鳴し運命も同じになったというシェルドレイクの仮説のほうが納得しやすいのは私だけであろうか?


■チベット僧の話
チベットのラマ教の僧の話であるが、「お前の祖先にお前と顔のよく似ており、また生きた環境も似ている人がいて、お前は人生もその祖先とよく似た人生を送る。」という話を読んだことがある。私は自分の運命が知りたくて、祖先に自分とよく似た境遇の人を探した記憶がある。
この話の真偽はともかくも、言えるのは、これは生まれ変わりではなく、シェルドレイク現象であると考えたほうが正しいのではないか?


■シンクロニシティ
共鳴現象を超心理学的に解明したのは、心理学者のカール・ユングであるが、彼によって提唱された概念をシンクロニシティと呼ぶ。
シンクロニシティとは、何か二つの事象が、「意味・イメージ」において「類似性・近接性」を備える時、このような二つの事象が、時空間の秩序で規定されているこの世界の中で、従来の因果性では、何の関係も持たない場合でも、随伴して現象・生起する場合があることをいう。

ようするに、偶然の一致の疑似科学的な説明である。


■シェルドレイクの悪魔

人は誰でも偶然の一致を経験したことがあるであろう。
また、私たちは、運命という得たいの知れないものに人生を左右されていると感じている。
偶然の罠にはまったと感じるときもある。
しかし、この偶然の一致を解明したいと思った科学者がいて、偶然の一致を解明したとき、新たに、偶然を自分の意思で引き寄せることも可能なのではないか?という結論を得たのである。
いわば、「呪いの人形」や「てるてる坊主」の原理は、シェルドレイクの仮説によって説明が出来るように、私達の生活の中にも、シェルドレイクの悪魔が巣くっているのである。

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