目に関する断章

「目玉の親父って鬼太郎のどっちの目だっけ?」

「右目だっけ?ウエンツは両目があるし?どっちでもよくね?」

こんな会話を交わしていたカップル達に贈る。

「目玉の親父は左目じゃなきゃいかんのだ」と。



■目は口ほどに物を言う
古代の日本では、男と女が見つめあうことを「目合い(まぐわい)」と言って、男に見詰められて、女が目をそらさずにいると「求愛を受けたサイン」だという。

しかし、プラトンによれば、恋する者の瞳からでる「液体」が相手の瞳に侵入することによって相思相愛になるというイデア論から推察すれば、「恋する男の瞳を見ると、女が目を反らすことが出来なくなる」というのが本当かも知れない。

かのメデューサの瞳は、瞳を見た者をすべて石に変えるというが、恋する者の熱い瞳を見ることによって石になるのであろう。

あながちプラトンの説がロマンチックな話だけではなく、科学的にも突飛な話ではない。

人の細胞で外界と直接接しているの実は瞳だけであり、瞳孔の大きさは人の興味とともに開く。瞳孔の反応が、精神活動に直接関係がある。
目の発生を考えれば、脳の延長といえるし、その目の中を見ることは、覗き穴を通して、脳そのものの一部を見てるようなものであり、瞳とは外界からダイレクトに脳に刺激を伝えられる唯一の器官であるといえましょう。


■邪眼
「恋する視線」で恋に落ちるのならば、「恨みの視線(邪眼)」で不幸になるとも考えられる。
そのことを証明するかのように、昔から魔よけとして有名なものは、すべて「邪眼」から身を守るものであるといっても過言ではない。

たとえば、日本で「九字」という魔よけは、縦横に指で線を引くことによって魔物の視線を逸らすのが目的である。

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安倍清明が魔よけとして使用したとされる「五芒星」は、一筆書きで書かれた線の中に邪眼が封印されるとされており、また逆に五芒星はその内部が外界から封印されるゆえに、西欧でも「魔方陣」として使用される。
ちなみに、アメリカのペンタゴンのマークは「五芒星」である。

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昔からトルコで魔よけとして使われる「ナザルボンジュウ」はメデューサの瞳である。
メデューサの瞳は西欧では、古くから魔よけのアイテムであるが、これはまさに「目には目を」の発想であり、「邪眼を邪眼で対抗する」のである。

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■左目と右目の実験
猿の脳を半分ずつ切りとった実験記録がある。
脳の左半分、または右半分を切除した猿のうち、左目だけが使えるサルは、凶暴で攻撃的だが、右目だけつかえるサルは穏和で従順になったという。
凶悪犯の脳を切除するという手術が昔、ロシアで実施されたという噂があったけれども、
凶悪犯の左目を失明させたら、もっと効果があがるかもしれない。

「悪魔の左目」という伝承は、案外的外れではない。




■悪魔の左目
神秘学では、「悪魔は左目に宿る」といわれ、左目のみのシンボルは「悪魔の目」といわれる。
英語でも「ライト」は英語で「右」という意味であるが「正しい」という意味でも使われる。
欧米では「右手優位」の傾向があるのである。

聖書でも「左」は、「右」よりも一段劣るというか、正しくないという意味を持つことがあり、たとえば最後の審判において、人類が裁かれるときも、右側に正しい者、左側には正しくない者が集められていると記述がある。

さて、ここで1ドル紙幣の裏側を見てみよう。

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1ドル紙幣の左側のアップ。エジプトのファラオ(国王)の象徴であるピラミッド。
その最上に「片目」が描かれている。
1ドル紙幣のピラミッドの目は分析の結果、「左目」であることがわかっている。
この結果から、ピラミッドの目はギリシア神話の「ホルスの目」が原型であるといわれている。

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キリスト教国のアメリカ合衆国が「なぜ紙幣に悪魔の目を!?」と思われるかも知れない。
しかし、実際は「なぜキリスト教国がエジプトの神を使用するのだ?」の疑問の方が正しいのである。

一般的にはユダヤ・キリスト教社会では、左目を「ルシフェルの目」といって悪魔の目と認識するが、古代エジプトでは「ホルスの目」、日本では「いづの目」、ベトナムでは「一つ目の神」として伝えられてきた神であり、片目の神は「五穀豊穣と多産の神」であり「精神世界」ではなく「物質世界を支配する神」といわれる。

後に書こうと思うが、「五穀豊穣」「多産」「女」といった「農耕民族的な神」はキリスト教成立以前は人間生活の守護神であったが、キリスト教成立以後に、すべて悪魔にされ封印されてしまったようである。

日本でも古事記を読めば、太陽の象徴である天照大神は右目から生まれ、月の象徴である月読の神は五穀豊穣と多産の神であり、よってイザナギの左目から生まれたとされるのが理解できましょう。



■鬼太郎の左目
以上の考察から、「悪魔の左目」が正しいのであれば、「妖怪の左目」に帰結するべきである。
ゆえに「目玉親父は左目」なのだよ。


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続編はコチラです。
魔女の左目


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