人望論を語る

男の社会で「あの男は酒と女が好きだから」と言われれば、欠点として笑えるが、「あの男は人望が無いから・・」と言われたら確実にすべてを否定されているとも言える。いくら「頭が切れる」とか「まじめ」という評価があっても「人望が無い」で何もかも台無しである。

三島由紀夫が書いたエッセィで、「人望を得るにはどこか同情を得るナイーブさが必要である」という意味のことが書いてあったが、よく意味が判らなかった。
最近、プロレスを見ていて「あ!そうか!」と閃いたのでBLOGしようと思う。

結論を言うと「人望のある男は強いプロレスラーと同じ性質である」ということである。

極めて重要な事であるが、プロレスで強いレスラーとは、朝青龍のような相手を寄せ付けぬ強さではない。プロレスラーで朝青龍のような一方的な勝ち型は「ヒール」と呼ばれる悪役レスラーである。

プロレスで強いレスラーとは、必ずしも勝つレスラーではなく、相手の得意技を充分自分が喰らいながら、観客をハラハラさせ、勝つときは最期に自分の決め技で紙一重で勝つ型である。負けるときも紙一重である。プロレスは格闘技であるが、プライドやk-1のような純粋な格闘技ではなく、「見せ合う格闘技」である。「相手もいいとこ出させ、自分もいいとこ出す。めちゃカッコ悪い場面もあり、めちゃかっこいい場面もある」共存共栄の総合格闘技である。もしも、自分のかっこいい所だけしか見せたくないレスラーがいたら、他のレスラーからコテンパンにヤラレルらしいし、目の肥えた観客から共感が得られないから、人気も出ないからチャンピオンに為れない。

こういうスポーツだから、「プロレスはショーだ」と言う人がいるが、それはプロレスの見方を知らない人である。もちろん、共存共栄だと言っても、互いの必殺技を見せ合う訳だから、肉体は鍛え抜かれている。ひ弱な肉体では相手の技を受けられないからである。そしてプロレスラーは人間の肉体の弱点を知り尽くしている。

力士だった長州力の入門前のエピソードだが、長州がリングで仁王立ちになり、「俺をリングから出したらプロレスを認めてやる!」と言った。リング下で見ていたレスラーの1人が、にやにや笑いながら、仁王立ちの長州力の背後に回ると、いきなり肛門に指を突っ込んだという。あまりの痛みに一瞬にして倒れた長州はサンドバックのように殴られ蹴られて失神してしまった。この体験で長州は「プロレスが総合格闘技と言われる意味が判った」と実感したと言います。
このように、プロレスのチャンピオンとは、一方的に勝つのではなく、徹底的に痛めつけられてから勝つタフなレスラーでもある訳です。

たとえば、才気走った一流大卒の若い現場監督が技術のある職人から人望を得ようと思えば、みんなから吊し上げられた時の彼の対応によって人間力が評価されるのであると考えられる。
もちろん、吊し上げられても立場を利用した力で押さえつけるのでは逆にナメられるし、復讐される。かといって怖がって卑屈になってもナメられる。真摯に考え、孤独の中から這い上がろうと総合的な人間力で努力すれば、皆が見てないようで見ている。この状態で仲間が1人でき、2人できてゆくのである。
人望は、パフォーマンスやリップサービスでは得られるモノでなく、人間の総合力で得られる本格的なモノであると言える。
「そんな仕事に人望なんて要らないよ。仕事なんだから利害で我慢させればいい」と言う人がいるかも知れない、確かに利害が絡んでいるので仕方なしに嫌々仕事は完成されると思われるが、良い仕事には為らないし、この現場監督は仕事の立場上、恐怖と利害によって現場監督であるわけで、実際に人望がある訳ではない。もちろん、仕事においては、利害と恐怖によって活動する動機になる場合が多いけれども、結果としていい仕事ができなく、組織にまとまりも無く、近いうちに脱落するであろう。
人はいつも利害によってのみ動く訳ではなく、人望と信用が人を動かし、個人の人生の繁栄と幸福の土台だと思う訳である。

私が現在関係している少年野球で判ったのであるが、特に結果がすぐ出る勝負事においては、監督に人望が無ければ決して勝てない。特に父兄に人望のない監督は最悪である。父兄は自分の子供が試合に出してもらえるように我慢するかも知れないが、そういう恐怖と利害の人事型の監督のチームは勝てない。
実力と胆力があり、厳しさの中にも暖かさと爽やかさをカンジさせる監督は、間違いなく人望があってチームも強い。この爽やかさというのが大事なようである。爽やかさというのは、泥沼から這い出た状態の爽やかさであって、ひ弱な爽やかさではない。

昨今の日本において、短絡的な利益や短絡的な幸福を求める風潮があり、これを頭の良い合理化の選択というかも知れない。しかし、真の豊かな人生を作るには、胡散臭い考えかも知れないが人望とか目の見えない力を得る努力をする必要があると思うのである。

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この記事へのコメント

エイジ
2005年05月29日 00:45
BLOGの人気度って何を尺度にするか?ですよね
アクセスアップだけを狙うなら いわゆるアダルトサイトにかないませんからね
僕が思うには、るりるりさんの個性が光るBLOGであればいいと思いますけど
moetuma
2005年05月29日 02:20
人望は、大きな財産ですね。
売買はできませんが。
エイジ
2005年05月29日 18:13
空気でも水でも
本当に大切なモノは金では買えません
っていうか
タダです(汗)

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